研究者や活動グループを支援する
2021年7月12日
竹村和子フェミニズム基金は2011年の創設から10年目の今年度、最後の募集を行いました。そして、最終年度となる2021年度には、調査・研究および社会活動に従事されている個人およびグループから86件の応募がありました。ご応募くださった皆様には審査委員会を代表して厚く御礼申し上げます。
審査会では、例年どおりこれら多数の応募課題の中から、本基金の主旨への理解、テーマの独創性、喫緊性、計画の実現可能性などの観点から厳正な審査を行い、個人の研究課題1件、グループによる活動2件、出版助成4件の合計7件を助成対象として採択しました。この採択結果に至るまでには、審査員それぞれが全ての応募書類を精査して付与した評点をもとに上位24位まで絞り、その上位者の応募内容の全てについて、審査会でさらなる精査と十分な議論を行いました。個人の研究課題には、それぞれの専門分野におけるジェンダー問題の解明に資する切実な問題意識が窺われました。また、グループによる応募書類には、ジェンダー平等達成への志を同じくする仲間とこれまで地道に継続してきた取組の足跡が読み取れました。どの応募課題が採用されても、「ジェンダー平等・正義の一日も早い達成に向けて、フェミニズム/ジェンダー研究、または女性のエンパワメントや女性のサポートの視点で実施される活動に資する研究・調査を支援する」という本基金創設者の竹村和子さんの遺志は実現されたはずです。特にこれまで本基金による出版助成を受けて世に出された研究成果が、社会におけるジェンダー意識の醸成に与えたインパクトは計り知れません。採択課題の成果報告が続々と届くたび、本基金がこうした成果や個々の研究者のキャリアアップの一助となり得たことを、関係者一同、幸甚に思いました。創設以来、本基金の趣旨に賛同してくださり、応募してくださった全ての皆様のご活躍に敬意を表するとともに、皆様のますますのご健勝及びご発展をお祈り申し上げます。
審査委員長 髙橋裕子
応募者名・団体名 | 助成金額(円) | 報告書 |
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研究または活動のテーマ | ||
小林 洋子 | 400,000 | |
ろう女性史(デフハーストーリー、Deaf herstory)に関する調査研究 ~ 手話言語による自分史語り・ダイアログを通して ~ |
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subversive records(サブバーシヴ・レコーズ) | 400,000 | |
抵抗と生存の戦略: ブラック・フェミニズム(Black Feminism)のアートアクティヴィズム |
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シルヴィア・フェデリーチ 『Revolution at Point Zero: Housework, Reproduction, and Feminist Struggle』 翻訳プロジェクト | 400,000 | |
シルヴィア・フェデリーチ著 『Revolution at Point Zero: Housework, Reproduction, and Feminist Struggle』 翻訳・出版プロジェクト | ||
但馬 みほ | 500,000 | |
博士論文の出版 『アメリカをまなざす娘たち――水村美苗、石内都、山田詠美の初期作品における越境と言葉の獲得(仮)』 |
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表現の現場調査団 | 400,000 | |
表現分野で学ぶ学生を対象としたハラスメント防止のための啓発教育の実践 | ||
堀川 修平 | 500,000 | |
現代日本の性教育実践における同性愛/同性愛者の捉えなおしに関する歴史研究をもとにした、書籍『気づく 立ちあがる 育てる ―― 日本の性教育におけるクィアペタゴジー』の出版 | ||
李 亜姣 | 400,000 | |
『現代中国の高度成長とジェンダー ―― 農嫁女問題の分析を中心に ――』の出版 | ||
2021年度助成金 合 計 金 額 | 3,000,000 |
2020年7月22日
2020年度、竹村和子フェミニズム基金の公募も第9回目となりました。今回も、ジェンダー平等の達成という本基金の趣旨をご理解くださる個人およびグループの方々から合わせて49件の応募がありました。
本審査会で厳正な審査を行った結果、38名の個人と11のグループからの申請の中から、8件(出版助成4件、個人研究2件、グループ2件)を採択しました。採択された課題は、申請書における研究課題のプレゼンテーション、予算を含む研究計画の妥当性と実現可能性、想定する成果物が個人のキャリアあるいは社会変革にもたらす重要性などの観点から特に優れていると評価されました。しかし、申請者の皆様がそれぞれの研究や活動に向ける熱意は、どの申請書からも等しく伝わってきました。新型コロナウイルスの感染拡大への懸念から、今回の審査委員会はオンラインでの開催となりましたが、先の見えない不安な現実の中で、ジェンダー平等やジェンダー正義へ向けた学術的・社会的プロジェクトにこれだけ多くの優秀な方々が意欲的に取り組んでいらっしゃることが申請書の文面から窺え、審査委員会も大いに勇気づけられました。ご応募くださった皆様に審査委員会を代表して心より御礼申し上げます。
ちなみに竹村和子フェミニズム基金も来年度の公募を以て助成を終了する予定です。これまで事務局には、助成対象となった書籍や研究論文等の成果が続々と届けられてきました。中には、本基金の助成を得た成果がキャリアアップにつながったという嬉しい報告もありました。ジェンダー正義・ジェンダー平等の実現をめざす研究や活動を支援したいという竹村和子さんの遺志を形にするために、審査員一同、最後まで尽力いたします。皆様も最後となる次回の公募にどうぞ奮ってご応募ください。
審査委員長 髙橋裕子
応募者名・団体名 | 助成金額(円) | 報告書 |
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研究または活動のテーマ | ||
池松 玲子 | 500,000 | |
主婦を問い直した女性たち
― 投稿誌『わいふ/Wife』の軌跡にみる戦後フェミニズム運動の一断面 (出版助成) |
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女性史オーラルヒストリー研究会 | 170,000 | |
ジェンダー平等と高学歴女性
―1960年代から1970年代に高等教育を受けた女性の ライフヒストリーを てがかりとして― |
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洲崎 圭子 | 500,000 | |
『産まない女に夜明けは来ない-ロサリオ・カステリャノス研究』(仮) への出版助成 |
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竹家 一美 | 500,000 | |
『日本の男性不妊』(仮)への出版助成 | ||
陳 璟 | 85,000 | |
日本画における女性の自己表象についての考察
―女性日本画家の自画像を巡って― |
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津軽家族農業研究会 | 360,000 | |
農家女性は「代替」されたのか?
―津軽地方における果樹作の技能継承に着目して |
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松田 和樹 | 280,000 | |
家族法を問いなおす
―自己決定としての家族、その可能性と限界 |
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宮下 美砂子 | 500,000 | |
『いわさきちひろと戦後日本の母親像
―画業の全貌とイメージ形成をめぐって―』(出版助成) |
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2020年度助成金 合 計 金 額 | 2,895,000 |
2019年7月22日
2019年度の第8回竹村和子フェミニズム基金には、個人およびグループから58件の応募がありました。多数の応募の中から、本基金の審査委員会では、本基金の趣旨である「ジェンダー平等・正義」への理解、計画の独創性や実現可能性、成果物の妥当性などの観点から厳正な審査を行い、個人6件(うち出版助成4件)、グループ2件の合計8件を採択しました。応募のあった研究分野や活動内容は例年どおり多様でしたが、どの応募書類からもジェンダー正義を実現しようとする熱意が伝わってきました。関係者一同、まずは皆様それぞれの意欲的な取組みに敬意を表します。
審査においては、助成対象に偏りがないよう、個人やグループによる研究や活動への支援と出版助成のバランスに配慮して採択するよう心がけていますが、今回は特に出版助成の申請に優れた内容のものが多く、出版助成による採択件数が通常より多い結果となりました。しかし、本基金は、これからも個人やグループによる研究や活動をしっかり支援いたします。来年も引き続き多くのご応募をお待ちしています。特に、大学院生をはじめとする若手の研究者の応募を歓迎いたします。
過年度に採択され、研究期間を終えた応募者から成果報告をいただくたびに、審査委員一人ひとりが本基金の意義を改めて実感しています。中には、本基金の助成によって形になった成果がキャリアの次のステップにつながったというご報告もあり、竹村和子さんの遺志が確実に次世代へつながっていることを嬉しく思います。本基金の趣旨に賛同し、応募してくださったすべての皆様に、審査委員会を代表して心より感謝申し上げます。
審査委員長 髙橋裕子
応募者名・団体名 | 助成金額(円) | 報告書 |
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研究または活動のテーマ | ||
萱場 千秋 | 200,000 | |
未完の償いの意義 ― Go Down , Moses における南部白人の経済的補償と黒人女性の倫理的応答 |
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蒲澤 晴美 | 500,000 | |
「女性高齢者という人的資源の潜在的能力を生産的な社会構造に組み込む方法」の課題究明の一環として、 書籍『高齢女性によるグループ経営-「人間らしい仕事」の獲得』の出版 |
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小泉 友則 | 500,000 | |
『子どもの性欲の近代 一 幼児期の性の芽生えと管理は、いかに語られてきたか』出版 | ||
高橋 幸 | 400,000 | |
2000年代日本におけるジェンダーバックラッシュ以降の、「若い女性」のフェミニズムに対する態度の実態と動向について
『2000年代以降日本のフェミニズムとポストフェミニズム(仮)』出版 |
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松田 こずえ | 98,000 | |
ジェンダー平等意識を育む絵本についての研究 ― ノルウェーと日本を比較して― |
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眞野 豊 | 500,000 | |
『性の多様性を前提とした学校教育の開発』の出版 | ||
ジェンダー視点から考える広域・長期避難者支援ネットワーク | 500,000 | |
中長期支援から見えてきた広域避難におけるジェンダー課題 | ||
女性作曲家会議 | 500,000 | |
日本現代音楽界における男女機会不均等の調査研究 ~ 日本人女性作曲家のこれまでと現状 ~ |
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2019年度助成金 合 計 金 額 | 3,198,000 |
2018年7月26日
2018年度で竹村和子フェミニズム基金も第7回となりました。今年度も多様な分野の研究者や様々な活動を展開されているグループから、合わせて46件の応募がありました。ご応募くださった皆様に、審査委員会を代表して心より御礼申し上げます。
審査委員会による厳正な審査の結果、今年度は33名の個人と13のグループの申請の中から、6件(出版プロジェクト1件、個人3件、グループ2件)を採択しました。ジェンダー平等の視点から政府や自治体の施策を検証する研究、パフォーマンス・アートの実践とジェンダーやセクシュアリティ、アイデンティティに関する研究といった個人研究から、団体によるセクシュアルマイノリティの国際比較に関わるシンポジウム開催など、助成申請は実施内容も形態も多岐にわたっており、ジェンダー平等の実現へ向けた研究や実践方法がいかに多様であるかを改めて認識しました。また、今年度は特に、海外の文化や地域をリサーチの対象とする研究が例年と比べて多かったのも特徴的でした。しかし、審査委員の中からは、フィールドを海外に置く研究では、研究者がどのような当事者性や立脚点を以って国外の場所や対象へと向かうのかが問われるという指摘もありました。
なお、事務的な指摘になりますが、今年度の応募用紙には新たな項目が加えられ、改訂されていたにもかかわらず、昨年度の応募用紙を使って申請された方がいらっしゃいました。応募の際には当該年度の様式をご使用ください。
昨年度に採択された皆様方からは、助成対象となった書籍や研究論文等の出版、イベントの実施完了等、嬉しい報告が続々と届いています。来年度も、ジェンダー正義・ジェンダー平等の実現という本基金の趣旨をご理解くださる皆様からの多数のご応募をお待ちしています。
審査委員長 髙橋裕子
応募者名・団体名 | 助成金額(円) | 報告書 |
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研究または活動のテーマ | ||
斉藤 正美 | 500,000 | |
政府・自治体による婚活支援政策の実態とその社会的影響 ジェンダー平等の観点から |
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竹田 恵子 | 500,000 | |
パフォーマンス・アート《S/N》(1994年初演)におけるジェンダー/セクシュアリティ、アイデンティティをめぐる実践についての研究 | ||
松本 祐生子 | 450,000 | |
独ソ戦下のソ連女性:身体と感情 | ||
渡邊 真理香 | 180,000 | |
日系アメリカ文学にみられる女性同性愛に関する研究 | ||
日仏女性研究学会 | 460,000 | |
日仏比較:性を装う人々 ― 現代・歴史・文学・映画に見られるセクシュアル・マイノリティ ― |
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SWASH(Sex Work And Sexual Health) | 500,000 | |
子どもと女性の人身売買禁止ネットワーク(GAATW:Global Alliance Against Traffic in Women)の調査報告書、「人身売買をなくすためのセックスワーカーの組織化: 当事者参画、コミュニティ構築、労働状況(仮訳)」("Sex Workers Organising for Change : Self-representation , community mobilisation , and working conditions ")の翻訳・出版 プロジェクト | ||
2018年度助成金 合 計 金 額 | 2,590,000 |
2017年7月6日
竹村和子フェミニズム基金は、2017年度で第6回目の公募となり、今回も文学、哲学、美術、歴史、社会学、教育、医学、保健学、福祉など多様な分野から45件のご応募をいただき、そのうち、個人での応募が35件、グループとしての応募が10件でした。これら全てについて審査委員会で厳正な審査を実施した結果、今回は9件(出版助成2件、個人4件、グループ3件)を採択しました。ご応募いただいた皆様に審査委員会を代表して御礼申し上げます。
今回ご応募いただいた申請課題はどれも「ジェンダー平等・正義」の早期達成という本基金の目的と趣旨に沿ったフェミニズム/ジェンダー研究、そして女性のエンパワメントやジェンダー意識の啓発につながる活動でした。過年度に採択に至らなかった課題で再挑戦された方々もいらっしゃる中、最終選考における申請内容の質も例年より高い印象があり、審査には一段と周到な議論を要しました。本基金の審査は、個人、グループの別、応募者のキャリア、性別、国籍といった属性を問うことなく、申請内容が本基金の趣旨に沿ったものであるか、課題の重要性、喫緊性、意義が明確かつ説得力をもつ記載内容になっているかなどを重視しています。また、申請者の実績や予算執行計画なども含め、実施計画の妥当性、さらには実現可能性、研究や活動の将来性や発展性なども考慮するようにしています。
過年度に採択された方々からは、本基金の助成による研究の成果(研究論文等の出版)や出版助成による新著、イベントの実施報告などが続々と届いており、審査委員会一同、たいへん喜んでおります。竹村和子フェミニズム基金は、今後とも、ジェンダー正義・ジェンダー平等の実現をめざす多くの研究や活動を積極的に支援いたします。次回も多くの皆様からのご応募をお待ちしております。
審査委員長 髙橋裕子
応募者名・団体名 | 助成金額(円) | 報告書 |
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研究または活動のテーマ | ||
加藤 ダニエラ | 200,000 | |
日陰の外へ―西洋在住の現代日本女性作家・美術家における「はざま」から見る風景の再評価 | ||
熊田 陽子 | 498,000 | |
オランダ・アムステルダムの合法的移民セックスワーカーが構築する 出身国ネットワークの実態に関する文化人類学的研究 | ||
巽 真理子 | 200,000 | |
『イクメンじゃない「父親の子育て」 -現代日本における父親の男らしさと<ケアとしての子育て>-(仮)』の出版 | ||
柳原 恵 | 450,000 | |
『東北・土着のフェミニズムを求めて-<化外>の<おなご>の声』(仮題)の出版 | ||
吉村 さやか | 500,000 | |
髪がない女性たちはどう生きてきたのか
-脱毛症女性の生活史の聞き取り調査- |
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社会科ジェンダー研究会 | 450,000 | |
『女性が社会科授業を創る』の出版助成 | ||
東京大学大学院 医学系研究科 健康科学・看護学専攻 母性看護学・助産学分野 | 500,000 | |
エルサルバドルにおける「暴力的出産」削減に向けた戦略の構築
-ジェンダーに基づく暴力としての産科医療・分娩時ケアの実態調査- |
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特定非営利活動法人レインボー・アクション | 150,000 | |
連続講座「週末トークライブ」の開催 | ||
図書館員のキャリア研究フォーラム | 150,000 | |
アメリカ州立総合研究大学の女性ライブラリーと専門性 | ||
2017年度助成金 合 計 金 額 | 3,098,000 |
2016年7月7日
第5回目の公募となる2016年度も、竹村和子フェミニズム基金に、文学、社会学、政治学、歴史学、文化研究など、学際的分野の研究者や、ジェンダー平等を目指して様々な社会活動を展開されているグループから合わせて49件の応募がありました。ご応募くださった皆様には審査委員会を代表して心より御礼申し上げます。
本審査会では、厳正な審査の結果、38名の個人と11のグループからの申請の中から、7件(出版助成2件、個人3件、グループ2件)を採択しました。ほとんどの申請書が本基金の趣旨をふまえ、かつ時機を得た重要な課題で、個人、グループ、キャリアを問わず、地道な実績を重ねてきた足跡と、研究や活動への熱意が伝わってきました。歴史や物語における女性の主体の可視化に関わる研究、性暴力や性被害への対応の改善に関する研究や活動、そして多様なセクシュアリティに関わる研究や活動、ジェンダー正義を実現する社会制度に関わる応募課題は、どれも甲乙つけがたい重要度を有しており、審査委員会でも大いに議論を重ねた結果、惜しくも採択に至らなかった課題も少なくありませんでした。また、女性活躍推進法が施行された今年は、男女共同参画社会の実現や女性にとってより良い就労環境の構築に関わる研究の応募数が前回と比べて増えたのも特徴的でした。
採択された皆様方からは、助成対象となった書籍や研究論文等の成果の出版、イベントの実施等に関する嬉しい報告が次々に届いています。本基金は、今後とも、ジェンダー正義・ジェンダー平等の実現をめざす多くの研究や活動の後押しとなるよう願っております。次回も多くの皆様からのご応募をお待ちしております。
審査委員長 髙橋裕子
応募者名・団体名 | 助成金額(円) | 報告書 |
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研究または活動のテーマ | ||
石井 由香理 | 450,000 | |
『トランスジェンダーと現代社会-多様化する性とあいまいな自己像をもつ人たちの生活世界』への出版助成 | ||
北村 文 | 200,000 | |
<メイドさんのいる暮らし>のジェンダー論的研究
-シンガポール在住日本女性の移民家事労働者雇用経験がしめすもの- |
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基地・軍隊を許さない行動する女たちの会(沖縄県) | 500,000 | |
「軍事化とジェンダー平和・正義に関する国際女性会議」沖縄開催
(「軍事主義を許さない国際女性ネットワーク」) |
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佐藤 美和 | 500,000 | |
同姓カップルに対する権利保障の拡大過程に関する国際比較研究 | ||
田中 麻子 | 450,000 | |
『不可視の性暴力 性風俗従事者と被害の序列』(仮)の印刷・出版費 | ||
特定非営利活動法人フォトボイス・プロジェクト | 500,000 | |
『東日本大震災で被災した女性たちの写真と「声」集』(フォトボイス Photo Voice) 出版 | ||
古橋 綾 | 500,000 | |
「内鮮結婚」と植民地主義-民族・ジェンダーの交差- | ||
2016年度助成金 合 計 金 額 | 3,100,000 |
2015年8月31日
竹村和子フェミニズム基金も第4回目となる2015年度には、ジェンダー平等の実現を目指す学術研究および社会活動を展開されている個人およびグループから62件の応募がありました。ご応募くださった皆様には審査委員会を代表して心より御礼申し上げます。
これら多数の応募テーマの中から、本基金の審査委員会では、本基金の主旨への理解、テーマの独創性、喫緊性、計画の実現可能性などの観点から厳正な審査を行い、個人3件、グループ3件、出版助成1件の合計7件を採択しました。
審査委員会では、審査委員それぞれの評価をもとに、これらの申請内容をひとつひとつ精査し、十分に議論したうえで、今回の採択結果に至りました。今年度も応募者の研究分野は文学、芸術、社会学、文化人類学、経済学、政治学など多岐にわたっていましたが、男性中心社会における女性の社会参画の促進、性暴力、性的マイノリティに関わる課題など、問題意識という点では共通していたように思います。とりわけ今年度の申請には、日本人が、国際的な女性のネットワークの中で、日本より経済的にも政治的にもジェンダー平等の実現が困難と思われる外国の女性研究者や活動家と協働しながら、現地の女性たちを支援するという内容の応募課題が例年より多く見られました。これについて、国際舞台での日本人女性の活動を頼もしく思う一方、審査委員会の中からは、他者の社会におけるジェンダー平等の達成を支援する経験を、自らの社会における課題の解決にもつなげようとする姿勢が肝要なのではないかという意見も出ました。また、研究や活動の意義や計画などが読む人に伝わる文章かどうかという点にも留意する必要があるように思われました。
本基金には、今年度も、過年度に採択された方々の研究成果の報告が続々と届いております。関係者一同、皆様のご活躍に敬意を表するとともに、今年度も本基金の主旨に賛同し、申請してくださったすべての皆様に改めて感謝申し上げます。
審査委員長 髙橋裕子
応募者名・団体名 | 助成金額(円) | 報告書 |
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研究または活動のテーマ | ||
アプロ・未来を創造する在日コリアン女性ネットワーク | 350,000 | |
在日コリアン女性に対する複合差別実態調査 | ||
近藤 有希子 | 450,000 | |
紛争後の二元的カテゴリーに抗する女性たちの沈黙と応答能力の可能性
― ルワンダ虐殺追悼期間に着目して ― |
||
石 楿 | 450,000 | |
『日本女性政策の変化と「ジェンダー・バックラッシュ」に関する歴史的研究』(仮)への出版助成 | ||
臺丸谷 美幸 | 450,000 | |
日系アメリカ人女性による朝鮮戦争期の従軍経験
― ジェンダーとエスニシティの視点から ― |
||
Turmunkh Odontuya | 420,000 | |
社会主義とポスト社会主義モンゴルにおける女性の再生産に関する意識とその変化に関して
― 子だくさんの女性を奨励する『名誉母』叙勲制をめぐって ― |
||
日印女性手工芸活動実行委員会 | 450,000 | |
手工芸活動を通じた日印女性ワーキング・グループの形成と自立支援 | ||
山下亜紀子・井上智史・松浦ふみ(九州大学)
倉富史枝・横山美栄子・吉田喜代子(NPO法人福岡ジェンダー研究所) |
440,000 | |
地方議会におけるマタニティ・ハラスメントに関する調査研究
― 政治の場におけるジェンダー平等の実現を目指して ― |
||
2015年度助成金 合 計 金 額 | 3,010,000 |
2014年7月31日
2014年度も竹村和子フェミニズム基金に、文学、歴史学、政治学、社会学、経済学等の多彩な分野の研究者や、粘り強い社会活動を展開されているグループから、合わせて35件の応募がありました。たくさんのご応募ありがとうございました。
26名の個人と9のグループからの申請でしたが、その内7件(出版助成3件を含めて個人6件、グループ1件)を採択いたしました。
今年度も申請テーマは多岐にわたりました。特に昨年と比べて出版助成申請の件数が増加した点が印象的でしたが、このことは、ジェンダー平等を目指す研究が多様な分野で結実している証左にほかなりません。今年度も、女性に対する暴力の根絶や、セクシュアルマイノリティに対する社会的啓発を目指す研究や活動をテーマとした申請が比較的多く寄せられましたが、女性の歴史的表象や国際的比較に関わるテーマや、昨今の日本社会で改めて強調されている女性の社会進出の問題に関するテーマもあり、ジェンダー平等を達成するアプローチの多様性を伺わせました。
審査委員会では、すべての応募テーマについて、計画の独創性や実現可能性、竹村基金の目的との関連性などの総合的な観点から厳正かつ公平に審査し、今回の採択結果に至りました。これまで同様、今回もたいへん意欲ある充実した申請書が多く、審査のプロセスでもこのような助成金の意義を再び深く実感いたしました。
また、過年度採択された助成対象者からは報告書や成果のお便りが届いて来ています。助成対象に選ばれたことがご自身の研究やグループの活動の前進に役だったといった声が寄せられ、関係者一同たいへん嬉しく思っております。あらためて、申請して下さった応募者のみなさまに審査委員会を代表して感謝申し上げます。
審査委員長 髙橋裕子
応募者名・団体名 | 助成金額(円) | 報告書 |
---|---|---|
研究または活動のテーマ | ||
特定非営利活動法人 共生社会をつくるセクシュアル・マイノリティ支援全国ネットワーク(共生ネット) | 470,000 | |
「セクシュアル・マイノリティのためのNPO/NGOと地域行政との協働を考える」国際シンポジウムの開催 | ||
東 園子 | 470,000 | |
『愛の読み替え-宝塚歌劇とやおいの文化社会学』(仮)への出版助成 | ||
林 愛美 | 470,000 | |
儀礼的暴力をめぐる女性たちの新たな選択 -東アフリカ・ケニアのマサイ社会における女性性器切除実践の変容に関するジェンダー人類学的研究 | ||
茶園 敏美 | 470,000 | |
『パンパンとは誰なのか-キャッチという占領期の性暴力とGIとの親密性-』 | ||
里上 三保子 | 300,000 | |
労働市場柔軟化政策によって,女性労働者は労働市場において中核的労働者となるのか,あるいは周辺的労働者という傾向を強めるのか。 | ||
元山 琴菜 | 320,000 | |
日本における非異性愛者をもつ家族とカミングアウト:家族の葛藤と「受け入れ」過程 | ||
堀江 有里 | 470,000 | |
<レズビアン・アイデンティティ>の可能性 | ||
2014年度助成金 合 計 金 額 | 2,970,000 |
2013年7月31日
2013年度も竹村和子フェミニズム基金に、文学、歴史学、政治学、社会学等の多様な学際的な分野の研究者や、社会活動を展開されているグループから、合わせて46件の応募がありました。たくさんのご応募ありがとうございました。
31名の個人と15のグループからの申請でしたが、その内8件(出版助成1件を含めて個人5件、グループ3件)を採択いたしました。
申請書のテーマは、従来の研究の開拓や蓄積を目指すテーマから、社会的に時宜を得た問題や緊急性の高い問題に対応しようとするテーマまで多岐にわたりました。特に目立ったのがDVなど女性に対する暴力に関わるテーマで、自治体その他の団体によるサポート体制の強化の必要性をうかがわせました。また、国内的な問題のみならず、国際的な問題解決にも一石を投じようとする活動および研究テーマも多く見られました。
審査委員会では、すべての応募テーマについて、計画の緊急性や実現可能性、竹村基金の目的との関連性などの観点から厳正かつ公平に審査し、今回の採択結果に至りました。前回同様、今回もたいへん意欲的な申請書が多く、審査のプロセスでもこのような助成金の必要性の高さを再び深く認識いたしました。
また、昨年度採択された助成対象者からは報告書が次々に届いて来ています。助成対象に選ばれたことがご自身のキャリアパスの展開に役だったといったメッセージが寄せられ、関係者一同たいへん嬉しく思っております。あらためて、申請して下さった応募者のみなさまに審査委員会を代表して感謝申し上げます。
審査委員長 髙橋裕子
応募者名・団体名 | 助成金額(円) | 報告書 |
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研究または活動のテーマ | ||
山口 佐和子 | 260,000 | |
ドメスティック・バイオレンス被害当事者母子の視点からみたハーグ条約と共同親権の問題 | ||
大西 香世 | 380,000 | |
保健師助産師看護師法・第37条にみる助産師の職能範囲―国際比較に基づく医療行為の禁止の規定要因 | ||
三部 倫子 | 430,000 | |
『同性愛と「家族」の社会学』への出版助成 | ||
代理出産を問い直す会 | 430,000 | |
卵子提供に関する問題を扱うドキュメンタリーフィルム上映会の開催 | ||
竹内 愛 | 310,000 | |
「ネパールの旧王都パタンにおけるネワール女性のエンパワメントに関する文化人類学的研究―社会内部の階層と差異に焦点をあてて」 | ||
LBTプロジェクト日本チーム | 410,000 | PDF
PDF2 |
レズビアン、バイセクシュアル女性、トランスジェンダーの人々(LBT)の性的指向、性別自認、性別表現を理由とした暴力の経験に関するドキュメンテーション | ||
高橋 英子 | 390,000 | |
福島県における6次産業化の推進と女性農業者の実践的取り組み | ||
特定非営利活動法人 女性のスペース結 | 360,000 | |
東京都及び埼玉県の大学(短大)におけるデートDV被害者へのサポート状況
大学学生相談室(カウンセリングセンター)への調査から |
||
2013年度助成金 合 計 金 額 | 2,970,000 |
2012年7月30日
昨年来故竹村和子さんの強い意向のもとに設立された竹村基金、今年度初めての情報公開に、予想をはるかに上回る92件もの応募がありました。ありがとうございました。これだけ基金への関心や期待が大きいことを、また現在の経済状況を鑑みるとき、多くの志ある方々の研究(活動)資金の逼迫さを痛感したところです。スタッフ一同全員に助成したい気持ちを持ちつつも、各年度の助成総額に規制がある以上、それは不可能でした。慎重に審査し、以下のように助成受給者を決定したこと、またその他の事項など記してご報告にかえます。
応募者全員、誠実に一生懸命申請書を埋めていただいたご苦労が伺えました。このような多数の応募のなかから、「基金の趣旨の理解」「計画の独創性」「論旨の明快さ」「計画の実現可能性」などの審査項目に総合評価を加えて選びました。ただし上述の項目は、今年度の体験を踏まえて改良する予定でいます。
このような多数の案件のなかから(私個人の)予測したほぼ10案件程度を選び出すとなれば、竹村和子さんご自身が強調され、また私たち一同も共有し、広報でもそのように主張してきた「助成金にアクセス不能(または困難)」な申請者ということに重点が置かれました。誰でも申請が可能とうたっているのは事実ですが、最初から申請者を限定しなかったのは、応募状況が全く予測不能であったこと、もし申請者を限定するとなれば、それをどのような文言で定義すればいいのかに、考えが至らなかったからです。個人、グループを問わず、具体的には、研究職・大学でのポスト、実績のあるなし、等が考察の対象になりました。もしこのような応募状況が続くようなら、来年度からは申請者の限定をしなければならないかもしれません。今後検討していく予定です。個人、グループ、助成分野についてはほぼバランスよく採択されていると思います。なおなるべく多くの助成受給者を選ぶために、助成申請金は案件どれも満額を得ていないことを申し添えます。
9案件を採択しました。下記の表をご覧ください。
*あらゆる研究や事象を、「ジェンダー正義、ジェンダー平等」の視点で分析、論述することは可能です。ほぼ応募全員それを唱えられていますが、研究や活動のどの部分(次元)がジェンダー正義、ジェンダー平等にあたるのかを、より具体的に詳細に書いていただいたほうが理解されやすいと思います。
*助成申請額の合計が間違っている方が大勢いました。例えば科研費の申請などでは所轄の事務局が正誤の精査をしますが、当方にはそのような機能がありません。応募全員に対してスタッフが電卓片手で計算のしなおしをするのはひと苦労でした。また申請額の上限を50万円程度としてあるにもかかわらず、それを大幅に上回る申請がありました。応募要項に準拠して申請してくださるようお願いしたいと思います。
本基金へ応募して下さったみなさまに審査員会を代表して感謝申し上げます。
以 上
審査委員を代表して
河野 貴代美
応募者名・団体名 | 助成金額(円) | 報告書 |
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研究または活動のテーマ | ||
えすけん(セクシュアリティ研究会) | 390,000 | |
セクシャル・マイノリティ当事者へのききとり調査~当事者と思春期のこどもたちをつなぐために~ | ||
宋 恵媛 | 380,000 | |
初期在日朝鮮女性のエクリチュールのアンソロジー出版 | ||
近江 美保 | 420,000 | |
「貿易自由化と女性―WTO(世界貿易機関)システムに関するフェミニスト分析」 | ||
日本軍性暴力パネル展実行委員会 | 240,000 | |
国際シンポジウム《大娘たちの戦争と記憶~中国で性暴力パネル展を開催して~》の開催、及び本シンポジウムへの中国からの講師の招聘 | ||
溝口 彰子 | 80,000 | |
研究発表「なぜヤオイ/ボーイズラブはファリックな女性『父親』を生産できるのか?~寿たらこの『Sex Pistols』」を第3回メカデミア学会で行い、フィードバックを得ることにより、書籍プロジェクトの新規最終章の内容を固める。 | ||
田崎 真奈美 | 390,000 | |
アジア太平洋地域における軍事主義への抵抗―在沖米兵による強姦事件と抵抗運動を事例に― | ||
田村 恵理 | 400,000 | PDF
PDF2 |
Nick Adams物語群におけるインディアンの女たちの描かれ方から、Hemingwayの言語に対する姿勢を考察する | ||
木村 尚子 | 420,000 | |
出産と生殖をめぐる攻防―産婆・助産婦団体と産科医の100年― | ||
石川 千暁 | 270,000 | |
20世紀米国黒人文学におけるヘテロセクシュアリティ表象の諸相 | ||
2012年度助成金 合 計 金 額 | 2,990,000 |